安全第一 part2

前の記事と続くよーな内容になりますが今度はPRAのお話です。

先日のPRA SUMMER NATIONALSでこれまでより変わった点がありました。
それはコース内への進入制限。
これまではドライバー・クルーなどのリストバンドをしていればコース内に入ることができ、私も自分が走る時以外はコース内に入って写真撮ってたりしたのですが、今回からスタンバイしている車のクルー以外はリストバンドをしていても入ることができなくなり、そしてプレスや一部の認められた方々は区別するために青いベスト?ジャケット?みたいなのを着用することになりました。

この措置はもちろん私みたいに写真撮るためだけにバーンナウトエリアの近くまで入ってくる人がいっぱいいすぎて危険だからです。バーンナウト時の事故ってのは過去にあんまりないとは思いますが、たまにバックギアに入れたままバーンナウト始めそうになる人とかいるし、バーンナウト時にはどうしてもクルマが左右に振られることも多いし、石もバシバシ飛んでもくるので、あの近辺が危険であるのは間違いありません。

でもやっぱりバーンナウトやスタートは近くの方が断然迫力ありますから、リストバント着けてれば近くで見たい、写真撮りたいというのが人情ってもんですよね。こういった制限は今までを知ってる人間からすると「細かいこと言うなよ~」と思う面もあり、運営側に不満を感じる人もいるかと思います。正直私も「え~」って思いました。

しかし、いくらアマチュアとは言ってもレースはレース。「絶対安全」なんて事は誰にも言いきることはできません。

元々PRAはセーフティに関してはかなり厳しい団体です。
私がVWに乗り始めた20年くらい前はワーゲンの走り系イベントと言えばジムカーナが全盛の頃で私も何度か走ったことがありますが、安全に関しては「長袖・長ズボン・ヘルメット着用」くらいなものであまり細かい規定はなかったように思います。ヘルメットだって特に規格が指定されているわけでもなくヘルメットと呼べるものであればOKくらいのレベルで、中のスポンジが死んでるようなものを普通に使っていました。
対してPRAはスネル2000以上でないヘルメットは使用できません。スネル2000を意識してヘルメットを買った人はわかると思いますが国産でスネル2000をクリアしているヘルメットというのはかなり限られ、あとはSIMPSONやBELLなどの海外製くらい、つまり高いヘルメットばかりなんですね。普段バイクに乗るとか他のモータースポーツもしてるとかならともかく、PRAのためだけに高いヘルメットを買わなきゃいけないというのはそれだけで参加へのハードルを高くすることになります。JIS規格でもOKくらいにしてくれればもっと気軽になるのに・・・・と思ったりするのですが、PRAとしてここのハードルを下げるという考えは恐らくないでしょう。それだけPRAはセーフティを最重視しているのです。

走行前のドライバーズミーティングでは毎回必ずゴール後のコースアウト手順が説明されます。ハイランドはリターンロードがゴール方向に向かって右にしかありませんので走った2台が同じ右の出口を使うことになります。そのため左レーンのクルマが先にゴールしてそのまま出口に向かってしまうと後からゴールした右レーンのクルマとクロスすることで大事故につながる可能性がありますので、ゴール順にかかわらず必ず右レーンのクルマが出てから左レーンのクルマが出ると決められています。出口に到達するまでにはかなりスピードも落ちてますし、パラシュート開かないと止まれないようなクルマでもない限り接触事故が起こることは少ないかもしれませんが可能性はゼロではありません。遅いクルマでもブレーキトラブルで出口までに減速できないということも考えられますからね。そして事故の有無に関わらず左レーンのクルマが先に出た場合そのクルマは失格にされ、その後の走行も認められません。これだけ強いペナルティが課せられるということはつまりそういうことです。

また、空冷VWでは少ないでしょうが走行前にはエアコンを切ることが求められます。ジョイントで開催されるイベントではエアコン付いたアメ車や国産も多いので夏場の待ってる間はエアコン使っちゃう人もいると思いますが、エアコンを使えば必ず路面に水が垂れ、それがスリップの原因、つまり事故の要因になるのでエアコンは原則使用禁止です。普段雨の日の運転で問題なくてもクルマを限界まで使うドラッグレースではほんの少しの水が大事故を招くことになるんです。そしてコースイン直前にエアコン切ってもすぐに水が止まるわけではありませんので基本的にはハイランドに入ってる間はレース終了まで1回もONにしない方がいいでしょう。厳密にレギュレーションで決められている事項ではありませんが、これも毎回ドライバーズミーティングで告げられます。

PRAにはその他にも様々な規定があり「それくらいいいじゃん」と思うくらい細かいのですが、アメリカと同等レベルの安全基準でレースを運営し、0.1%でもリスクがあるならそれを排除するというスタンスであるからこそ、スムーズなレース進行とイコールコンディションでの安全な競技が可能になるのです。

あっ、だからと言ってPRAは限られた一部の人たちだけで楽しむ閉鎖的なレースではありません。SUMMER NATIONALSでは多くのルーキーが参戦していたし、最近は400番台の若いナンバーを掲げるクルマが非常に増えています。そしてブラケットであれば普段乗ってるVWにレースに必要な装備を追加するだけで参加でき、ハンディキャップレースはビギナーもベテランも速いクルマも速くないクルマも等しく勝つチャンスのあるレースです。シーズン通して参加するほどではないけれど1度は走ってみたいという方のためにステップバイステップという体験走行クラスも設けられています。VWに乗っていれば誰でも参加できるドラッグレース、それがPRAです。

コース内に入れなくなったことで今後はいいポジションでの撮影は難しいでしょうが事故が起こってからでは遅いわけで、自己中心的な考えは捨て、今後もPRAが長く続けられるように、そしてレースを安全に楽しむために、参加者も観戦者もスムーズな運営に協力しましょうね。

2 Comments

  1. 私もその通りだと思います。
    いくらレースが楽しくても、事故を起こしたりしてしまうと、まわりの人にも迷惑を掛けますし、楽しいものも楽しく無くなってしまいますよね。
    今回PRA用にヘルメットを自分で購入しましたが、スネル規格の意味が分からずOneLowのお兄さん達に相談しながら選びました。

    それに仙台まで自走でしたし、自分の車で初めて長距離だったので故障はともかく事故だけは気を付けようと心掛けていました。

    これからもレースに参加する上で、マナーは守っていきたいですね。
    ブログ、とても参考になりました。

  2. 周りに相談できる人がいるのは心強いですね。
    これからもみなさんと楽しく安全にレースをエンジョイしてください(^-^)

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