オーエックスエンジニアリング

今月のJAFメイトでオーエックスエンジニアリングのレース用車椅子が取り上げられていました。

「オーエックス」と聞いてピンときた方、あなたは恐らくヤマハ2サイクルフリークですね。
そうです。オーエックスエンジニアリングというのはヤマハ2サイクルのチューニングで有名だったあの「SS ISHII(スポーツショップ イシイ)」、後の「OXレーシング」です。バイク乗りであれば「イシイのチャンバー」と言えば聞いた事がある方も多いでしょう。

オーエックスグループHP

代表の石井氏は1976年からSS ISHIIとしてヤマハ2サイクルを中心にレース活動やカスタムパーツ・チャンバーの開発・販売をしていましたが、1984年の事故で脊椎損傷の大怪我をし、その後は車椅子生活を余儀なくされました。そしてそれを機に以後は車椅子の開発にシフトし、現在は通常の車椅子の他にロードレース・テニス・バスケットボールなどのスポーツ用や犬用の車椅子、自転車、バイク・自動車部品などの開発・製造・販売をしています。中でもOXのロードレース用車椅子は世界的に高い評価を受けていて、北京パラリンピックでは国内外18個ものメダルを獲得したそうです。

確かにOXの製品群を見ていると、そのどれもが非常に強いこだわりから生み出されていることがわかります。
SS ISHII時代をリアルタイムでは知らない私ですが当時からイシイのチャンバーは評判が良かったと聞いていますので、この妥協の無い高いクオリティはきっと石井氏のポリシーなんでしょう。

そして何よりすごいと思うのが、事故でバイクに乗れなくなってもそこで諦めて立ち止まるのではなく、車椅子という新たな分野で夢に向かって突き進んでいったこと。
健常者の私がもし同じ立場になったとしたら・・・・そんなに強く自分を保てるのか、前に進むことができるのか、正直自信がありません。

最近は「だれでもいいから殺したかった」なんて自分勝手な事件が多く起きています。こんな時代ですから様々な理由で自暴自棄になる人も多いでしょう。その気持ちはわからなくもありません。石井氏も事故で大好きなバイクに乗れない身体になり、我々に見えないところで悩んだり苦しんだりしたと思います。でも、こうして前へ進んでいるんです。

石井氏は車椅子を使う人だけではなく、健常者にも夢を与えているのではないでしょうか。

新潟にも長岡にOXの会社があるんですよ